喫茶店での茹で卵問題

近所のカフェのモーニングを食べに行った。
お茶は何度もしたことがあるものの、モーニングは初めてだ。
前に、休日の朝、近くを通りかかったら、開店前なのにすでに何組か待っている人たちがいた。きっと良いモーニングを出しているにに違いない。いつか行きたいものだと思っていて、今日実行した。
昨日の土曜日は出勤で、でも忙しくはなかったので、流しのゴミ受けのカビ取りをしていた。換気の前に窓を開けた。でもその窓を閉め忘れた気がして、朝に見に行った。(職場は自転車で十分の所にある)気の重いその用事の後にモーニングに行こうと昨夜思いつき、床についた。幸い窓は閉まっていた。他の人が閉めてくれたに違いない。
自転車を駐輪場に停め、カフェへ入ると、七割くらいの席が埋まっていた。
大きな机を囲む席に案内され、メニューを見る。どうやらここでは「モーニング」ではなく、「トーストセット」らしい。いくつか種類があって、レーズントーストのセットに決めた。サラダと茹で卵に加え、ジュースとゼリーが付いてくるのがカフェっぽい。ジュースはリンゴで、ゼリーは紅茶味なのも好みで最高だ。
バターが染み込んだレーズントーストがおいしくて、しばらく集中して齧る。そろそろサラダもと食べる。次は茹で卵‥と思ったが、剥いた殻を置く場所が無さそうなので後にした。
先にパンを食べてしまおうと続きを齧りつつ、昔バイトしていた喫茶店のことを思い出した。
その喫茶店では、モーニングはスクランブルエッグだったが、カレーについてくるサラダに茹で卵が付いていて、その茹で卵の殻を剥くのはバイトの役目だった。その殻がだいたい剥きにくく、しばしば表面がガタガタの茹で卵になってしまい、謝りながらマスターに返していた。マスターは微笑んでそのままその茹で卵をサラダに入れた。私はその茹で卵をチラチラ見つつ、そのまま客に出した。客も何も言わなかった。
茹で卵は、剥いてもらった方が食べやすいけど、殻がついたまま出して、客に剥いてもらった方がお店側はリスクがないに違いない。今は感染症の問題もあるから余計だ。
パンを食べ終わり、パンの下に敷いてあった紙ナプキンを広げて、その上で、卵の殻を剥く。剥きやすかった。塩を振って、そのまま手づかみで頬張る。むせるのが怖いので、一口ごとに水を飲んだ。
ジュースとゼリーを平らげ、コーヒーの残りを飲み干した。おいしかった。昨夜からの心配事も晴れ、充実感いっぱいの時間となった。
帰宅後、茹で卵を今度はなんとかして始めに剥いて、サラダに入れて食べてみようと思った。正解はないと思うが、手づかみで食べたのが今にして若干恥ずかしい。